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北条政子(日本 鎌倉時代) 1157年~1225年

第四回目は、政治の表舞台に立った、日本史上でもまれに見る女性で
源頼朝の妻、「尼将軍」北条政子の事例から学びます。
    
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第四回 ~時代をつかんだ理念とプレゼンテーション~
      北条政子(日本 鎌倉時代) 1157年~1225年
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日本史上における「天下分け目の決戦」といえば、
「関が原の戦い」が最もイメージされるかもしれません。
しかし、その他にも時代の流れを決めるような戦いがあります。
そのうちの一つ、それは鎌倉時代の「承久の乱」です。

これは1221年に起こった、鎌倉幕府と京都朝廷との争いで、
これに勝利したほうが日本の支配権を確立できるという
武家と公家の異なる立場による権力闘争です。

当時、すでに武家政権である鎌倉幕府が確立していましたが、
それも磐石ではなく、朝廷側が巻き返す可能性も残っていました。


この「天下分け目の決戦」における鎌倉幕府の勝利に、
多大なる貢献をした人物がいます。
その人こそが、鎌倉幕府初代将軍・源頼朝の妻、北条政子です。
彼女はどのようにして鎌倉武士団を勝利に導いたのでしょうか。


かねてより幕府追討の準備を進めていた朝廷側が
西日本を中心に幕府追討の命令を発しました。

この事態を聞いた関東の武士たちは動揺してしまいました。
その時代、すでに武家の「力」も大きくなってきていましたが、
やはり朝廷、公家には伝統的な「権威」があったのです。

鎌倉将軍の地位も、朝廷から保証されたものなので、
朝廷に逆らえば、鎌倉幕府の正当性が揺らいでしまいます。

無理に逆らわずに、おとなしく朝廷に従ってしまおうか・・・


慌てる大勢の武士たちを前に、北条政子は演説を行います。

「皆、心をひとつにして聞いてほしい。亡き頼朝殿が関東で
 政治を始めて以来、官位のことも俸禄のことも、その恩は
 山よりも高く、海よりも深いはずです。

 しかるに、今、不正な命令によって逆臣の汚名を着せられ
 ました。名誉を大事にするのなら、すぐに真の黒幕を討ち
 将軍家の意思を守るべきです。」


これで武士たちは心を落ち着かせ、一致団結して朝廷と対決
することを決意し、すぐに京まで攻め込み、勝利を手にしました。
これにより、鎌倉幕府の全国での支配権確立が完成したのです。

さて、彼女の演説はなぜ武士たちの心をつかんだのでしょう。


当時の武士は、江戸時代の武士のように官僚化されておらず、
むしろ「武装した土地開拓者」のような立場だったと言えます。
彼らは、かつては自分達が開墾した土地を、公家達に搾取され、
また、身分の卑しいものとして、蔑まされた境遇にありました。

しかし、源頼朝がそんな武士たちの立場を代表し、彼らの利益を
守るための存在として、鎌倉に政権を確立したのです。

これにより、武士は公家に泣かされることも少なくなりました。
これが北条政子の演説にある「亡き頼朝殿の恩」です。

そこで、北条政子は、公家に虐げられていたかつての境遇や、
自分達の利益を守るためには幕府が必要である、ということを、
武士達に思い出させたのです。


鎌倉幕府には、武士の利益を守るために存在する、という
時代の流れをつかんだ明確な大義があり、それは武士達に
浸透していました。

だからこそ、北条政子は一時的に動揺する武士達に
鎌倉幕府の理念を説くことで、再び一致団結させることが
できたのです。


これ以降、武家の天下は江戸幕府の終焉まで約六百年間続きます。
北条政子の「プレゼンテーション」は歴史の大きな流れを
決定付けたものと言えるのではないでしょうか。
それも時代をつかんだ理念があったからこそ、成功したのでしょう。

◎ここで、歴史は皆さんに問いかけます・・・。

 是非、少し時間をとって考えてみてください。
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 ・あなたの事業理念は、時代の方向性を適確に掴んでいますか?

 ・その理念は、関係者(従業員、顧客、出資者など)にしっかり
  と浸透していますか?

 ・あなたがこれまで人を動かしたことはどんな時でしたか?
  また、あなたは北条政子から何を学びますか?

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*参考文献:
・『日本の歴史 7 鎌倉幕府』(石井進 中央公論社)
・『北条政子 ~母が嘆きは浅からぬことに候』
          (関幸彦 ミネルヴァ書房)
・『逆説の日本史 5 中世動乱編』(井沢元彦 小学館)



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