fc2ブログ

Push to Talk

ドコモの902iシリーズに、「プッシュトーク」機能が搭載された。
auはほぼ同様の機能として「Hello Messenger」をリリースしている。

これらの機能は「Push to Talk」と総称され、ボタンを押しながら
複数人に対して一方向の話をすることができる。

「Push to Talk」は「VoIP (Voice over IP)」という技術を
ベースにしている。VoIPは、音声をパケット化(分割)して送信する。
そのため、1本の線で複数の通話が可能となり、ネットワークの効率を
高めることができる。

反面、音声を分割して送信するために、受信側で滑らかに復元する
テクニックや、パケットが遅延した場合や届かなかった場合への
考慮が必要となる。

インターネットで使用されたVoIPの品質は当初、劣悪だったが、
最近は著しく改善された。MSN MessengerやSkypeは通常の
電話とさほど変わらないレベルになってきている。

また、企業内でも内線電話としてVoIPが使われるようになってきた。
これは、「音声パケットはなるべく優先して送る」という機能や、
各所で発生する遅延を低減する技術の開発など、
ここ数年の技術の著しい進歩によるところが大きい。


一方、携帯電話では、
iモードのヒットを契機としてメールやネットの
パケット通信が普及した。
さらに「第三世代」と呼ばれるauのCDMA 1X以降、高速なパケット
通信ができるようになった。

ただ、無線のネットワークであるため、電波に強弱が生じたり
途切れたりすることもままある。
そのため、VoIPを実現することは有線のパケット網よりも
困難というのが常識だった。



今回発表された両社の「Push to Talk」技術は、これらを克服し、
通常の電話と変わらないレベルまで仕上がった。

また、複数人への配信が比較的容易というパケット通信の利点を活かし、
両社とも5人までに同時に声を届けることができるようだ。

ドコモ、auともに本機能の主要用途として仲間内での
情報伝達を宣伝している。

 これを、新しい事業に応用することもできないか考えてみたい。

例えば、
複数の居酒屋に「Push to Talk」を使って
今から行きたい旨を告げて、最初に応答があったお店を
予約するようなこともできるだろう。
「当店は、『プッシュトーク』からの予約をサポートしています」と
いうのがウリになるかもしれない。
そのような場合、「プッシュトーク対応」とするためのサポートや、
プッシュトーク対応居酒屋リストなどのポータル提供ビジネスもありうる。


また、同時に5人に送信できることを利用して、小規模クイズや
アンケートなどにも適用できるかもしれない。

さらに、同時受信可能者(現在は5人)が緩和されれば、
マイクロコミュニティFM局を構築することも可能だ。
以前は放送と通信には明確な境界線が存在したが、この機能によって
放送と通信が融合されることもありうるだろう。


今回の「プッシュトーク」は、カメラが搭載された時のような
マスコミ的インパクトは少ない。
だが、今までの通話とはまったく異なる技術を搭載している。
パケット通信により擬似的な「掛け放題」も実現した。

定額制と1対多通信の実現という2つの新たな価値を提供しており、
電話の用途と習慣を大きく変更する契機になるのではないだろうか。


*↑文章にご意見・ご感想がございます場合、
  matsuzawa@bbt757.comまでお気軽にご連絡ください。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

さて、
これを皆さんの事業アイデアに上記の記事は如何に活かせるでしょうか?

既存の技術からだけの発想では、新しい価値を創り出すのは
難しいでしょう。

是非、これまでの考えに固執せず、事業機会を捉えてみてください!
                      (松澤)


この文章は大前研一のアタッカーズ・ビジネススクールが発行するメルマガ【情熱DNA】(まぐまぐ殿堂入り)にて配信した内容です。ご登録いただければ毎週水曜日、お手元に届きます。こちらから
スポンサーサイト



この記事のトラックバックURL

http://abscommunity.blog37.fc2.com/tb.php/33-83ba8560

Template Designed by DW99