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【3】『 お金の取れる頭脳ノート ~これぞ「知の蓄積」40年の集大成 』

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【3】『 お金の取れる頭脳ノート ~これぞ「知の蓄積」40年の集大成 』 

 ※本内容は、プレジデント7月19日号に掲載されものを特別編集したものです。
  内容の転記等は不可ですのでご了承ください。
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■1テーマ1ページで思考の流れを整理

私にとってノート術というのは他人の話を書き留めるためのものではない。
あくまで自分の思考を整理するためのものである。

たとえば差し迫った講演やミーティングがあるときには、早朝の1~2時間
デスクに向かって、時には風呂場やトイレで、あるいは行きがけのクルマの中で、
気合を入れて今日の話の内容を考える。
相手がどんな話を聞きたがっているのかを想定しながら、こちらとして言って
おかなければならないことをメモにパパパッと書き出していく。

何か一つのテーマに関して、頭の中にあるデータを取り揃えて一つの考え方の
塊にする。
「結論はこう。その理由はこれ、これ、これ、三つある」というピラミッド思考が
瞬間的にできるように訓練してきたから、テーマが決まれたすぐに書き出すものが
湧き出てくる。
最終的な結論は何か。その結論を導き出すための論拠、そしてイグザンプルは何か。
キーワードや数字、簡潔なセンテンスを交えて書き並べていく。日本語で話をする
場合には日本語で、英語で話をする場合には英語で。ちなみに私は昔から縦書きだと
頭が働かない。すべて横書きだ。

思考の流れを整理するのが目的だから、思いつくままにだらだらと何枚も書き連ね
たりしない。基本的には1テーマ1ページ。1枚のメモに思考の塊をパッケージする。
200万円の講演でも500万円の講演でも、30分の講演でも1時間半の講演でも
すべて同じだ。1枚のメモで事足りる。
それで、話が始まってみればいかにもその場で思いついたように話をする。
実際、メモは手元に置いているが、ほとんど目を落とすことはない。
一度話し始めれば、芋の地下茎のように考え方の塊がつながっているから、
聴衆から目を離さずとも話が自然に流れてゆく。
記憶でも記録でもない。要するに頭の中を整理するためにメモするのであって、
集中してメモを書いた時点で目的は十分に達している。
だからしばらく経ってから講演メモを読み返しても、何が書いてあるのかさっぱり
わからなかったりするのだ。


■『企業参謀』こそ、ノートのとり方の「実例」

私のノート術の原点は中学1年生のとき。音楽の先生から、聴いた音楽のメモを
取りなさいと言われたことがきっかけだった。
たとえばベートーベンの交響曲第6番『田園』の第一楽章はどういう楽想か、それを
聴いてどのように感じたか、音楽日記のようなものを書くように指導されたのだ。

品行方正(!)な大前少年は先生の言いつけを守り、大学院に行くまでの12年間、
クラシックを聴くたびに音楽日記をつけ続けた。
高校ではブラスバンドに、大学からはオーケストラでクラリネットを吹いていたが、
おかげでほとんどの作曲家のだいたいの作品が頭に入っている。

日々の出来事を振り返る日記の趣味はまったくないが、音楽日記をつけるように
なってから自分が考えついたことや学んで理解したことを書き出す習慣が
いつのまにか身についていた。
それを発送術や思考の整理術として仕事に本格的に活用するようになったのは
マッキンゼー時代だ。

当時は20代後半。それまでの9年間、大学と日立製作所で原子力ばかりやって
いたから、経営コンサルタントはまったく未知の世界だった。
そこでマッキンゼーがどういうことをする会社なのか、経営とは何か、まず自分なりに
気づいたこと、考えたことを大学ノートにメモして書き溜めた。
それがプレジデント社の編集者の目に留まって世に出たのが処女作である『企業参謀』
(プレジデント社)である。あの本は私のつけていたメモそのものなので、ノートの
取り方に関しては「実例」なのである。
つまり他人の言ったことでなく、自分が考えたことをその瞬間に自分を説得させるために
書いている。『企業参謀』は出版した1975年に16万部も売れた。英語版(『The Mind
of TheStrategist』)が各国語に翻訳されて世界中で読まれ、35年が経過した現在も
新装版がロングセラーで売れ続け、ビジネススクールや企業研修の場では戦略思考の
教科書としていまだに使われている。

マッキンゼー時代のノートの使い方も、要は自分が言うべきことを整理するためのメモ書き
である。大半はクライアントとのミーティング用のメモで、先方が抱えている課題に対して
提示するべき課題解決のポイントや新しいコンセプトを走り書きした。
時折、新聞や雑誌の記事依頼やテレビコラムの出演依頼があると原稿の構成を考えたり、
本をつくるときには、まず全体のアウトラインを考えて同じノートに書き込んだりしていた。


次号につづく
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