【2】『 大前研一の提言!【経済超入門】危機脱出の処方箋 』
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【2】『 大前研一の提言!【経済超入門】危機脱出の処方箋 』 (編集:松戸)
※09年4月に「週刊東洋経済」に掲載されたインタビュー記事より抜粋
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アジア諸国の国家アドバイザーを務め、企業の経営コンサルティングを行い、
社会人のマネジメントスキル教育も行う大前研一氏。現状をどうとらえており、
ビジネスパーソンは何をなすべきか聞いた。
⇒⇒なぜこれほどまでに深刻な経済危機に陥ったのか。
経済理論が不在だからだ。今復活しつつあるケインズ流の有効需要創出論が
実は通用しない。その理由は三つある。
一つはボーダーレス経済。閉じられた国家であれば、有効需要を創れば雇用が
発生し、給料が入り、消費につながる。だが、ボーダーレス経済だと、自国で
雇用が発生するとは限らない。アメリカで有効需要を創っても、雇用の多くは
メキシコや中国など人件費の安い国で発生する。
二つ目はサイバー経済。日米の間に貿易不均衡があるといっても、インター
ネットで商品を買い、クレジットカードで決済したら、通関統計に出てこない。
だから貿易額を見ていても実態がつかめない。
三つ目がマルチプル(倍率)経済。サブプライムローンの証券化が典型だ。
証券化商品を組み合わせて新たな証券化商品を作り、原債権の何倍もの金融
商品を売った。米AIGのCDS(クレジットデフォルトスワップ)関連の
商品も高い倍率を持っていて収拾がつかなくなった。
こうした三つの新しい要素に、金融危機が加わった。そのような異常時には、
特にインフラの整った先進国ではマクロ経済的な刺激策よりも一人ひとりの
経営者の心理、消費者の心理に働きかけることが重要になる。金利を上げ下げ
しても、カネは使わない。気分をおおらかにし、カネを使ってもいいという
心理にさせることが大事だ。
⇒⇒具体的には。
岡山県総社市で、三菱自動車の車を買った人には10万円補助するという
制度を始めたら、市役所に人が殺到したという。僕が首相なら、今年中に車を
買い替えたら1台50万円で国が下取りするという政策を行う。先着200万台と
しても1兆円。定額給付金の半分にすぎない。下取りした車は修理して新興国に
輸出する。そうすれば修理工場の雇用は増えるし、財政支出の負担も減る。
結局、おカネを持っている人が使いたくなるような心理にすることが
先進国では重要だ。国はその介添えをするだけでいい。今は「心理経済学」が
有効だ。
悩む時間があるなら
勉強して力をつけろ
⇒⇒そうした経済危機の今、ビジネスパーソンは何をするべきか。
一つしかない。自分に投資することだ。個人が商品価値を持ち不良在庫に
ならないようにする。どの会社に行っても、どの国に行っても、カネを稼げる
能力を身に付ける。不況で空いた時間を自分に投資して勉強する。これを
やらないかぎりは、いつまでも会社の犠牲者、国の犠牲者だ。これから
戦国時代になるのだから、世界のどこでも活躍できるように刀を磨いて
おかないと。不安だと悩む時間があったら勉強をする。そして余人をもって
替えがたいスキルを一つ身に付ける。これが重要だ。
⇒⇒どのようなスキルが必要か。
最低限必要な基礎力は、IT・パソコンのスキルと、財務つまり資金管理・
資産運用の力と、問題解決能力だ。そのほかにコミュニケーションの力をつけて
リーダーシップが振るえるようにしておくことも必要だ。これらに加えて、
何か一つ二つの能力を磨いていく。たとえばマーケティングや生産計画などの
機能分野。
そして人から任されたら、助けてくれる人のネットワークをすぐに構築し、
自分が主体的に問題を解決できるようにする。結果を出す。こういう力があると、
どんな時代でもカネを稼ぐことができる。
⇒⇒どこで身に付ければいい?
平素から勉強し、会社の困っている部門の立て直し案を作っておく。
上司に会う機会があれば出してみる。お前の役割じゃないと言われたら、別の
テーマの案を出せばいい。会社の中にいれば、つねに経営のテーマに囲まれている。
豊臣秀吉のように草履を温めろ。 今のような不況期には、思ったよりたくさん
出番が来る。社長でさえ悩んでいる。たまたま社長と新幹線で乗り合わせたら、
「私、考えてみたのですが、あの事業は、こうしてはどうでしょうか」と言って
みる。「面白い。今度ゆっくり聞かせろ」と言われたら、「いえ、もうこれだけ
できています」とすぐに再建案を出せたら、一発で君の評価は上がる。
⇒⇒勉強するには。
会社と違う場で他流試合をするといい。似た者同士で勉強してもダメだ。
いろいろな人と切磋琢磨する場に行くと、人間は強くなる。
議論できる仲間もいるといい。負けていられないと思うはずだ。
僕はアメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)の大学院へ行って、
ショックを受けた。日本では見たこともない天才的な人が雲霞のごとくいた。
だが負けるものかと頑張って、卒業のときは一番になれた。あのショックが
僕の原点だ。
ここまで。。。
【2】『 大前研一の提言!【経済超入門】危機脱出の処方箋 』 (編集:松戸)
※09年4月に「週刊東洋経済」に掲載されたインタビュー記事より抜粋
───────────────────────────────────
アジア諸国の国家アドバイザーを務め、企業の経営コンサルティングを行い、
社会人のマネジメントスキル教育も行う大前研一氏。現状をどうとらえており、
ビジネスパーソンは何をなすべきか聞いた。
⇒⇒なぜこれほどまでに深刻な経済危機に陥ったのか。
経済理論が不在だからだ。今復活しつつあるケインズ流の有効需要創出論が
実は通用しない。その理由は三つある。
一つはボーダーレス経済。閉じられた国家であれば、有効需要を創れば雇用が
発生し、給料が入り、消費につながる。だが、ボーダーレス経済だと、自国で
雇用が発生するとは限らない。アメリカで有効需要を創っても、雇用の多くは
メキシコや中国など人件費の安い国で発生する。
二つ目はサイバー経済。日米の間に貿易不均衡があるといっても、インター
ネットで商品を買い、クレジットカードで決済したら、通関統計に出てこない。
だから貿易額を見ていても実態がつかめない。
三つ目がマルチプル(倍率)経済。サブプライムローンの証券化が典型だ。
証券化商品を組み合わせて新たな証券化商品を作り、原債権の何倍もの金融
商品を売った。米AIGのCDS(クレジットデフォルトスワップ)関連の
商品も高い倍率を持っていて収拾がつかなくなった。
こうした三つの新しい要素に、金融危機が加わった。そのような異常時には、
特にインフラの整った先進国ではマクロ経済的な刺激策よりも一人ひとりの
経営者の心理、消費者の心理に働きかけることが重要になる。金利を上げ下げ
しても、カネは使わない。気分をおおらかにし、カネを使ってもいいという
心理にさせることが大事だ。
⇒⇒具体的には。
岡山県総社市で、三菱自動車の車を買った人には10万円補助するという
制度を始めたら、市役所に人が殺到したという。僕が首相なら、今年中に車を
買い替えたら1台50万円で国が下取りするという政策を行う。先着200万台と
しても1兆円。定額給付金の半分にすぎない。下取りした車は修理して新興国に
輸出する。そうすれば修理工場の雇用は増えるし、財政支出の負担も減る。
結局、おカネを持っている人が使いたくなるような心理にすることが
先進国では重要だ。国はその介添えをするだけでいい。今は「心理経済学」が
有効だ。
悩む時間があるなら
勉強して力をつけろ
⇒⇒そうした経済危機の今、ビジネスパーソンは何をするべきか。
一つしかない。自分に投資することだ。個人が商品価値を持ち不良在庫に
ならないようにする。どの会社に行っても、どの国に行っても、カネを稼げる
能力を身に付ける。不況で空いた時間を自分に投資して勉強する。これを
やらないかぎりは、いつまでも会社の犠牲者、国の犠牲者だ。これから
戦国時代になるのだから、世界のどこでも活躍できるように刀を磨いて
おかないと。不安だと悩む時間があったら勉強をする。そして余人をもって
替えがたいスキルを一つ身に付ける。これが重要だ。
⇒⇒どのようなスキルが必要か。
最低限必要な基礎力は、IT・パソコンのスキルと、財務つまり資金管理・
資産運用の力と、問題解決能力だ。そのほかにコミュニケーションの力をつけて
リーダーシップが振るえるようにしておくことも必要だ。これらに加えて、
何か一つ二つの能力を磨いていく。たとえばマーケティングや生産計画などの
機能分野。
そして人から任されたら、助けてくれる人のネットワークをすぐに構築し、
自分が主体的に問題を解決できるようにする。結果を出す。こういう力があると、
どんな時代でもカネを稼ぐことができる。
⇒⇒どこで身に付ければいい?
平素から勉強し、会社の困っている部門の立て直し案を作っておく。
上司に会う機会があれば出してみる。お前の役割じゃないと言われたら、別の
テーマの案を出せばいい。会社の中にいれば、つねに経営のテーマに囲まれている。
豊臣秀吉のように草履を温めろ。 今のような不況期には、思ったよりたくさん
出番が来る。社長でさえ悩んでいる。たまたま社長と新幹線で乗り合わせたら、
「私、考えてみたのですが、あの事業は、こうしてはどうでしょうか」と言って
みる。「面白い。今度ゆっくり聞かせろ」と言われたら、「いえ、もうこれだけ
できています」とすぐに再建案を出せたら、一発で君の評価は上がる。
⇒⇒勉強するには。
会社と違う場で他流試合をするといい。似た者同士で勉強してもダメだ。
いろいろな人と切磋琢磨する場に行くと、人間は強くなる。
議論できる仲間もいるといい。負けていられないと思うはずだ。
僕はアメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)の大学院へ行って、
ショックを受けた。日本では見たこともない天才的な人が雲霞のごとくいた。
だが負けるものかと頑張って、卒業のときは一番になれた。あのショックが
僕の原点だ。
ここまで。。。
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