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大前研一特別講義 講義録

大前特別講義


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☆ 大前研一特別講義 講義録 vol.1
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●日本の将来が暗いのは事実。だからとて、あなたが暗くなることはない。

 21世紀の日本は繁栄しない。これから伸びない。
 何しろ毎年、仕事を辞める人が80万人で、仕事を始める若者が
 40万人しかいない。40万人ずつ就業人口が減っていくということは、
 GDPはこのままでは維持できない。

 日本に7000万人の就労者がいるとして、7パーセントの生産性向上と
 新規事業の参入が今後も必要だ。そこまでないとGDPは維持できない。

 国民の作り出した総付加価値がGDPなので、この国がさらに経済を
 成長させて伸びていくという事は、構造的にありえないことなのだ。

 そこで、世界の国々を調べてみたら、GDPが最近少し伸びたのは、
 フランスとスペイン。これは移民を毎年4、50万人入れているから、
 その移民が頑張ってくれる。

 アメリカは毎年200万人が法律に則って、そして法律違反しながら
 さらに200万人入ってくる。

 この人たちを吸収して、失業率が3パーセントというのはすごい事なのだ。
 要するにそれだけ雇用する事業力がある。

 しかも、特にシリコンバレーなんかに行ったら、インド人やロシア人など
 なんでもありで。ITバレーが「ICバレー」、インド(India)&
 チャイニーズ(Chinese)と言われている。

 例えばグーグルなんかを見ると、あれは1998年にできた会社だが、
 創設者のサーゲイ・ブリンはロシア人で、そういう人たちが入ってきて、
 アメリカはなんとか助かってる状態だ。異種混合ワクチンみたいなものだ。

 アメリカ人だけでやるとすると、皆、医者になるか弁護士になるか、
 それかウォールストリートに行ってしまうから、アメリカ人だけでは、
 あの国は発展しない。

 幸い、新しい人達を呼び込んでいるためにGDPが
 なんとかなっているのだ。ところが日本ではこれがやれない。
 ここに21世紀の日本の将来が見えてくる。

 2025年になるとどうなるかというと、今度は介護をやる人が
 全く足りなくなる。介護が必要な人が増える一方で、
 介護をやる人間がいないのだ。

 そこで、今フィリピンとかインドネシアとか、いろいろな国と
 経済協力でお互いに障害なくしてやってこうとして、
 今、一年間に日本に入ってくる人が200人から300人。

 しかし私の計算だと29万人が入って来ないと介護は間に合わない。
 毎年29万人である。

 さて、ここまで話を聞いて、皆さんはピンとくることはあるだろうか。

 つまりこれがアタッカーズ・ビジネススクールの視点で言うと、
 ものすごい事業チャンスなのである。

 むしろこれは事業チャンスではないか?と考える人がいないと、
 日本は困ってしまう。

 日本の将来は暗い、と言われて、一緒に暗いのかと
 思い込んでしまう人間は、世の中を暗くしか見られない。
 だから世の中の見え方と言うのは、自分を照らす照明と同じくらいの
 明るさなのである。

 ただ自分の照明が明るければいい。
 人が世の中暗いよと言っていても、自分だけは明るいと思っている。
 世の中が暗いと思ったら自分を照らす。
 これがまずアントレプレナーの心構えの第一だ。


                            (つづく)


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☆ 大前研一特別講義 講義録 vol.2
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●自分がその立場になったらどうするか


 多くのサラリーマンは社長の悪口を言うけれど、
 いざ自分が社長になった時は、その人よりひどくなることが多い。
 理由は簡単で、要するに自分がこの立場になったらどうするか
 というメンタリティーがないからだ。

 これがアントレプレナーに必要な心構えの第二だ。
 評論家にはなってはいけないということである。

 とにかく自分がその立場になった時どうするのかといった、
 その立場で考える癖がついてないと、いざその立場になった時に
 間に合わない。

 だから上司の悪口言うをいうことは、何の生産性もない。
 自分があいつの立場だったらどうするか、ということを、
 明日からその立場になっても間に合うようにいつも準備しておく。
 この考え方の癖が大事なんだ。

 野党の人間が、年金がこれだ、ガソリンの問題もある、この問題もある
 というこの姿勢で考えているうちは、非常に切れ味がいい。

 しかし、君ならどうするの、と言われたときに「うー」と唸って
 何もアイデアがなかったら、大臣になっても半年や一年で
 終わってしまうだろう。
 やはりちゃんと自分でやるというメンタリティでいないといけない。

 僕はよく、自分の会社の社長に就任した後の一ヶ月の日記を書いてみろ、
 と言う。まだ就任してないけど、就任したとして、初日に何をするか、
 2日目に何をするか、ということをブログで書いておく。

 そうすると、いかにその立場になった時に何をやるかを考えてないで、
 評論家だけになってしまっているかがわかる。
 自分だったらこれをやるとか、今日はみんなを集めてこう言ったとか、
 逆らった奴はこうしたとか、こういうのを全部考えていなくてはいけない。

 アメリカで経営のトップ、例えばルイス・ガースナーは、
 元々マッキンゼーでの私の同僚で、彼はナビスコの会長から
 IBMの会長にまでなったのだが、その彼に私は呼ばれたことがある。

 今度IBMの会長になったので、IBMとはどういう会社か、何がコツか、
 すぐには何をやらなくてはいけないのか言ってくれと、質問された。

 彼はなぜIBMにいって成功したかというと、彼は自分がその立場に
 なったらどうするかっていう考えをマッキンゼー時代から持っている。

 自分が社長だったらこのぐらいのことやりますよ、
 という迫力をもってやらないと、いざ社長になっても務まらないよ。

 リサーチ会社はいい事業家やコンサルタントにはなれない。
 調べたことをレポートにして見せるだけではなく、
 結論はどうなのかどっちかをハッキリしなければならない。

 しかし、実際はどうするのか聞かれたときに、ほとんどの人は
 そういう発想ができない。こういうやつは事業家に向いていない。
 どうするのと言われて、こうするのと答えることが必要だ。


 社長に最後に何をやらせるか。一生懸命リサーチしてるやつは
 そんな暇はないが、ぼくは、分析しないで、社長に最後何をやらせるか、
 どうしたらいいか、どっちの方向に進めばいいかばかりを考えているから
 こっちのほうが有利だよ。ここまできたらこの仕事は楽だよ(笑)。


                            (つづく)


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☆ 大前研一特別講義 講義録 vol.3
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●ロシアが見せる兆し

 インターネットでBBCのニュースを見ていたら、
 オーストラリアのゴールドコーストにロシア人が
 大量に投資をし始めたというのが出ていた。

 あそこら辺の地域でわずか家10件程度の金額で、
 ほんの小さな兆しなんだが、これが報告をされていた。
 これが重要なのだ。

 ロシアというのは、金持ちが国を信用していない。
 国を信用していないから、金ができたらどこかに持って行きたい。
 どこに持って行っているかというと、トルコだ。

 トルコはその辺を良くわかっているから、
 ロシアからビザなしで入国できるようになっている。
 日本だったら、1ヶ月前に大量に書類を提出してと大変だ。

 このロシアの金を狙っているのが、まずモンテビデオ。
 ここのゴルフ場の開発は、ほとんどロシア人がやっている。
 それからキプロス。キプロスはトルコと同じくビザなしで入れる。
 そしてタイ。タイにはロシア人が年間12万人も訪れている。

 タイの新しい空港に行くと、到着したらビザを出す、
 なんてことをやっている。
 ロシアやウクライナ、カザフスタンは、本国でビザを
 申請したら大変だから、バンコクで簡単に取ってしまう。
 これで年間12万人だ。

 逆にタイからロシアに人は、年間2千人。
 一方的にロシアからタイに来ているわけだ。

 このロシアの金がどこに行っているかを調べるのが重要だ。
 今はかなりドバイに行っている。
 そして最後に見つけたのが、ゴールドコーストだ。
 そこにロシア人が今年になって投資を始めたのだ。

 これを「Fast Forward」と言う。
 Fast Forwardとは、この兆しが拡大するとどうなるか?
 ということを考えることを言う。
 事業を成功させるためには、これをやらなくてはいけない。

 まったく兆しがないことをやっても、事業は失敗する。
 いつまでも正しいと思っても続けても、待ちぼうけになってしまう。
 だが、兆しがあって、これはいくのでは、ということを、
 Fast Forwardさせて考えてみることは重要だ。

 3年前のロシアは、ちょっと「うっ」と言う感じだったが、
 2年前から変わった。それは石油の値段が上がっているからだ。

 1バレル30ドル、40ドルの石油が100ドルを超えたら、
 お金がどんどん飛び込んでくるようなものだ。

 石油は井戸のところで掘っているときは、3ドルしかコストがかからない。
 それを100ドルで売ったら、全部利益になる。

 これを見ていると、ロシアはしばらくの間は勢いがあるだろう。
 エネルギーが高いのは困るが、ロシアと商売するときは高いほうがいい。
 世界で金を持っているのは誰だ?といったらロシアだ。

 日本の将来は暗い、といっても、明るい国があるのだから、
 そういう国と商売すればいいんだ。

 だから、世の中暗いことばかりだといっていないで、
 明るいところを見てると、世界は明るいところばかりだ。
 日本をひとたび離れたら、本当に明るいところだらけ。

 例えば、中国の携帯の契約は、1ヶ月で500万台。年間6000万台だ。
 1年間で5000万台のドコモを抜いてしまうわけだ。
 全体で4億を超えている。インドは一年間で一番伸びたときは、
 1ヶ月で900万台伸びている。

 世界は明るいところだらけ。
 無いのは、そういうところに裸一貫で飛び込んでいく勇気だ。
 路頭に迷ったらどうしようか。路頭に迷ったら迷えばいいじゃないか。
 迷っている間にまた何か勉強できる。

 日本は失業保険だけで、メタボになってしまう(笑)



                            (おわり)

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