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タリーズコーヒージャパン株式会社 代表取締役社長、松田公太氏 vol.3

*見切り発車

 シアトルでは、スペシャルティコーヒーの店を探してとにかく歩いた。

当時、コーヒーに関してはズブの素人だった松田は
テイスティングのやり方も知らず、味を見極めるまで何度もすすり続ける
と次第に腹がふくれていき、歩いていると胃がしめつけられるように痛んだ。

 それでも毎日、スターバックスのような大手から
一店舗のだけの店まで、行き当たる限り、コーヒーショップという
コーヒーショップに入り、 50店以上でコーヒーを飲んだ。

決していい加減にはできない、人生を賭けた味見なのである。

 そんな中、タリーズとの運命的な出会いは、
シアトルでの1日目、飲み歩きを始めてちょうど10 店目のことだった。

「コーヒー・オブ・ザ・デイ(本日のコーヒー)」を飲んで、

“なんてうまいんだ!”

と感じたのが第一印象だった。

衝撃的と言える味である。
実は、もうこの頃にはコーヒーを飲むのが
きつくなり始めていたのだが、一気に飲み干すことができた。

他のコーヒーに比べて最も雑味がなくコクがあり、
しかも渋みの中に不思議と甘みすら覚えた。

それまで飲んだ中で、香り、味ともに最高だ。
その考えは、結局、50 店を回り終えるまで変わらなかった。

後に知るのだが、タリーズでは、コーヒー豆はスペシャルティ
コーヒー店のなかでも最高級のものを使用しているということだった。

 店員に話をしようとすると、用件はタリーズ本社に
連絡してくれという。すぐに渡された番号に電話をかけた。

呼び出そうとした相手は、店員から名前を聞いた、
創業者であり、会長(当時)のトム・オキーフだ。

いきなり最初から意思決定権を持った人に
話をするというのは、松田が銀行での営業を通じて学んだやり方だ。

銀行の顧客となる企業の社員からいくら好感触を得ても、
その人が決定権を持っていなければ意味がない。

結局、人を介して話をしても、気持ちは半分も伝わらないのである。
タリーズの場合、決定権を持つのはトム・オキーフだった。

訳のわからない日本人の若者が、いきなり会長と話をしたがっている。

どうも銀行員らしいが、銀行とは関係ないビジネスの話があるという。
松田の意図を測りかね、先方もさぞや不審に思ったことだろう。

 すでに当時、タリーズはシアトルを中心に
20数店舗を展開しており、地元ではかなりの人気店だった。

 「オキーフはただ今、外出中です」

 ひとことで電話を切られたのも仕方なかった。

シアトルから日本に戻った松田は、タリーズにEメールを送る毎日が始まった。
銀行の仕事を終え自宅に戻った深夜、夜な夜なパソコンに向かった。

 自己紹介に始まり、次にタリーズが日本に進出した場合を想定して、
自分なりのビジネスの方法論を展開した。タリーズに送った「レポート」
は、週1度のペースで10回以上に及んだ。

そうして何回かメールを書いているうち、
タリーズ副社長(当時)のアールジェイ・セルフリッジからメールで返事があった。

と言っても、「参考になる意見をありがとう」という程度に過ぎない。
決して反応が良いわけではなかった。

それでも松田は諦めずに、せっせとメールを書きつづけた。

シアトル訪問から2ヶ月が経った96 年6月末、
6年間勤めた三和銀行を退行した。

その時点で、タリーズと契約ができるという見込みはまったくなかった。

しかし、「タリーズで起業したい」という思いは日増しに強まってくる。
もはや進むべき道が決まった以上、銀行員を続けていても仕方なかった。

              *文章はABS講義テキストより抜粋


●上記を受け、以下について考えてみてください。
             そして是非、書き出して見て下さいね。

 ○─────────────────────────────○

  ◇TRY1
  あなたがこれまで、”ピン!”ときたことはどんなことですか?

  ◇TRY2
  普通考えて、”難しいのでは?”と思われることでうまくいった
  ことはどんなことですか?そのときの気持ちはどんなでしたか?

  ◇TRY3
  ”捨ててもいい”と思っていることで、まだ手元に有ることはある
  ものはなんですか?(肩書、給与、安定などですか?)
  それを所持する代償で失っていることはどんなことですか?

 ○─────────────────────────────○

さて、以降のストーリーは、
松田公太氏、自著「すべては一杯のコーヒーから」をご覧ください。
熱くなれることでしょう!。



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