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心脳マーケティング 顧客の無意識を解き明かす

shinnnou


第7回目は、2005年にダイヤモンド社から刊行され、
マーケティングの未来を占う意味でも貴重な1冊と言える、
『心脳マーケティング 顧客の無意識を解き明かす』を取り上げます。
この本は、発売以来様々な反響があり、良書であるという意見から、
実践的とは言えないアカデミックに偏った書籍であるというように、
意見が分かれている書籍です。

実際ボリューム感があり、頭が混乱する点もありますが、
アントレプレナーを志す皆様は、ぜひざっとでも目を通していただき、
この本に書かれている、これからのマーケティングのあり方や可能性に、
ぜひ触れてみてください。
きっとパーセプション(知覚や考え方)が変わると思います。


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  【心脳マーケティング 顧客の無意識を解き明かす】
    ジェラルド・ザルトマン(著)  ダイヤモンド社
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書籍紹介をするにあたって、どうしてもマーケティング関連の書籍を
紹介したいと常々考えていました。アントレプレナーにとっては、
価値を作り出し、その価値を適切に伝え、その対価として収益を得る行為、
すなわちマーケティングが、事業の生命線だからです。

特にスタートアップの起業家にとっては、会社の戦略=マーケティング戦略
であり、マーケティングに弱い経営者が率いる会社は、それだけで
十二分にリスクを抱えていると言っても過言ではありません。

事実、コトラーと並ぶマーケティングの大家であるセルドア・レビッドも、
名著『レビッドのマーケティング思考法』の中で、「CEO(最高経営責任者)
の仕事は多岐に渡るが、なかでもマーケティングに対する理解と責任が
最も強調されるべきだ」と述べています。
(なお、この書籍についても、いつか改めて紹介したいと考えています。)

その上でご紹介する、今回の『心脳マーケティング』ですが、
あえてありきたりのマーケティング書籍ではないという前提でご紹介します。

この書籍は、今まで様々なマーケティング関連の書籍が発売される中で、
少し異質な書籍であると言えます。なぜならば、とても新しい考え方や
テーマを扱っているためです。

従来のマーケティング書籍の多くは、顧客のニーズにフォーカスをあて、
いかにして顧客が欲しいものを作り、販売していくかがポイントとなりました。
その前提には、顧客は自らが欲しいものを合理的に判断し、脳を使い
言葉で考えたことを行動に移している、という考え方が基礎にありました。

一方この書籍では、顧客自身が欲しいものや、自分自身の本音を
すべて理解していないという視点に立ち、以下の様々な分野を複合的に
取り扱い、新しいマーケティングをあり方を述べています。

 ■神経科学、言語学、人類学、進化心理学などの複数の専門分野
 ■新しいアイデアと、それによって必要となる新しい思考プロセス
 ■意識と無意識
 ■人間の心、脳、体、社会
 ■メタファーの効果と人間の思考におけるその役割
 ■言語表現と非言語表現
 ■全人類に共通した認識と価値観
 などなど

特に、最近注目されている“脳”に関する研究分野である大脳生理学や、
行動心理学といった、先端分野の研究テーマが盛り込まれています。
そして、これらの分野を有機的につなげ、顧客自身が気づいていない無意識
や潜在意識にフォーカスして、深層レベルでの心や脳の動きを捉え、顧客の
声を明らかにしていくといったアプローチ方法について書かれています。

私自身、正直言ってこの書籍の内容を100%理解できたわけではありませんし、
特に後半以降書かれているような、顧客の本音を探る手法に対して、
その実践度や効果については、疑問符がつく場面もあります。

しかしそれを持ってしても、ここに書かれているような考え方や意味合いには
大いに共感できますし、アタッカーズ・ビジネススクールでも提供している
「感性マーケティング講座」のコンセプトと相通ずるところがあります。

現代は、あらゆる分野が細分化し専門化が進んでいます。それゆえに
アントレプレナーを志す皆様にとっては、ポストモダンと言われる時代の
流れをつかむためにも、様々に専門化された各分野を統合して、そこから
結論を導き出せる知見や知恵を、身につけていただきたいと思っています。

その考えを実践する意味でも、『心脳マーケティング』は、
大いに役立つ示唆を与えてくれる書籍だと思います。


そこで、改めて新しい価値を生み出すアントレプレナーを志す方々は、
以下の点を意識しながら本書を読んでみてください!

 1、本書の中で述べられているコンセプトや考え方を
   大枠でも良いので、自分の五感で感じ、そして理解し、

 2、ご自分の手がけられている分野にこの考えを応用し、
   新しいアプローチを試みて、

 3、さらにご自分の専門分野に関係なく、脳、心理学、歴史など、
   今後のマーケティングに多大な影響を及ぼす各分野について学習し、
   異なる分野の考え方から学べることはないか、それらを統合させたら
   どうなるかを深く掘り下げる

 をトライしながら読まれてはいかがでしょうか?


これからの時代をリードし、新しい価値を作り出すには、この書籍の
キャッチコピーにもあるように、「心―脳―体―社会」を統合する
新しいマーケティングパラダイムが必要だと思います。

ぜひその意味するところを考え、考えそして、考え抜き、
実行に活かしてください。



この文章は大前研一のアタッカーズ・ビジネススクールが発行するメルマガ【情熱DNA】(まぐまぐ殿堂入り)にて配信した内容です。ご登録いただければ毎週水曜日、お手元に届きます。こちらから
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